迫力ある旧江戸城の歴史と緑に囲まれた景観の中を、1年を通して気軽に散策できる皇居東御苑。事前申請の必要はなく、入園料は無料。かつて参勤交代で諸大名が登城したルートを歩いて、旧江戸城の歴史を楽しんでみませんか?
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2022年11月3日(木)はこんな日でした!
祝日ということもあり、多くの来園者が見られました。これだけ多くの来園者を見たのは久しぶりで、大手門の入園の際に行われる手荷物検査が一時、長い列になっていました。
本丸地区(2022年11月3日撮影)
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皇居東御苑とは
概要
皇居東御苑は,旧江戸城の本丸・二の丸・三の丸の一部を宮殿の造営にあわせて皇居附属庭園として整備されたもので,昭和43年(1968)から公開されています。
引用:宮内庁ホームページ
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- 事前申請
必要なし - 入園料
無料 - 問い合わせ
宮内庁管理部皇居東御苑管理事務所
TEL:03-3213-2050(8時45分~12時/13時~17時※休園日除く)
皇居東御苑の出入門
皇居東御苑には、3つの出入門(大手門/平川門/北桔橋門)が用意されています。歴史ある、荘厳な佇まいの出入門も皇居東御苑の見どころの一つです。
大手門
参勤交代で諸大名が登城した江戸城の正門
主にこの門から、将軍への謁見のために諸大名が登城。現在は、皇居東御苑のメインゲートとして多くの来園者を迎えています。
大手門
平川門
御殿に務めていた奥女中などの通用門
ここには、門限に遅れて城内へ入ることができなかった、三代将軍家光の乳母「春日局」のエピソードが残っています。
平川門
北桔橋門
跳ね上がる構造の橋が門名の由来
江戸城本丸の北端に位置し、両側の20m以上の高い石垣が特徴。有事の際には本丸を守るため、手前の橋が跳ね上がる仕掛けになっていましたが、現在は土橋となり仕掛けはありません。
北桔橋門
散策のポイント
今回の散策コース
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- 江戸城の正門だった大手門からの入門
- 参勤交代で諸大名が登城したルートで本丸へ
- 本丸地区の見どころ
- 二の丸地区の見どころ
- 季節限定の花と緑
- 三の丸尚蔵館は新施設へ(休館中)
- 大手門で出門
所要時間
約1時間
皇居東御苑マップ
①大手門/②同心番所/③百人番所/④大番所/⑤本丸大芝生/⑥本丸休憩所増築棟/⑦富士見櫓/⑧富士見多門/⑨天守台/⑩諏訪の茶屋/⑪二の丸庭園/⑫二の丸雑木林
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[散策]参勤交代で諸大名が登城したルートで本丸へ
最寄り駅をスタート
「大手町」駅
(地下鉄各線「大手町」駅c13b出入口)
大手門へは徒歩3分
①大手門
大手門から本丸へ
かつて参勤交代で諸大名が登城したルートで本丸へ向かいます!
大手門
●大手仮休憩所(皇居東御苑の休憩所)
→パンフレット(無料)が置かれています
②同心番所
1つ目の番所
本丸までには、3つの番所(登城者を監視する警備詰所)が置かれ、1つ目の番所になります。ここでは主に「同心」と呼ばれる武士が登城者の監視に当たっていました。
同心番所
③百人番所
2つ目の番所
大手中之門の手前に設けられ、甲賀組/伊賀組/根来組/二十五騎組という4組の鉄砲百人組が昼夜交代で勤務していました。
百人番所
④大番所
3つ目の番所
大手中之門の内側に設けられた、位の高い武士が勤務していた番所。
大番所
本丸地区へ
⑤本丸大芝生
江戸城の中心だった「本丸」
本丸に到着!ここには、かつて本丸御殿があり、将軍への謁見のために諸大名が登城していたところ。本丸御殿は幾度となく火災に見舞われ、その都度、再建されましたが、文久3年(1863)に焼失してからは再建されることはありませんでした。
本丸大芝生
(前略)本丸御殿は表、中奥、大奥という三つの空間に分かれていました。表は、将軍の謁見など公式な儀式・行事・幕府諸役人の執務の場で、中奥は将軍の日常生活、政務を執る場、大奥は御台所と呼ばれた将軍の正妻をはじめ家族や女性たちの生活の場でした。
引用:江戸城本丸御殿案内板
江戸東京博物館(東京都墨田区)には、焼失前の本丸御殿の様子を1/200で復元した模型が展示されています。本丸大芝生とその周囲には、びっしりと建物が立ち並んでいたようです。
江戸城本丸御殿の模型(江戸東京博物館)
※江戸東京博物館は大規模改修工事のため、休館中です。休館期間は令和4年4月1日~令和7年度中(予定)。
⑥江戸城天守復元模型
本丸休憩所増築棟にて公開中(模型の高さは約2m)
江戸時代の寛永期の天守を1/30の大きさで復元。五重6階の建物と、石垣の天守台を合わせた高さは約60m(20階建てのビルに相当)でした。
※公開時間:皇居東御苑の開園日の午前9時から閉園時間の30分前まで(入場は閉園時間の45分前まで)
江戸城天守復元模型
●本丸休憩所(皇居東御苑の休憩所)
⑦富士見櫓
天守が焼失してからは天守の代用
現存する江戸城の櫓のうち唯一の三重櫓で、どの方角から見ても同じような形に見えることから「八方正面の櫓」とも呼ばれていました。
富士見櫓
(富士見櫓-江戸城天守閣の役割を果たす)
⑧富士見多門
「多門」とは長屋造りの防御施設
通常、旧江戸城の建物内には入ることはできませんが、この富士見多門(昭和42年~43年にかけて解体修理を実施)は建物内に入ることができる貴重な存在です。
※内部公開時間:皇居東御苑の開園日の午前9時から閉園時間の30分前まで(入場は閉園時間の45分前まで)
富士見多門内部
(富士見多門-内部を一般公開中)
⑨天守台
本丸地区一番の見どころ
明暦の大火(1657年)で寛永度天守が焼失後、万治元年(1658年)に再建された天守台です。天守は幕府内の天守不要との結論から建てられることはありませんでした。天守台のスロープを上がれば、本丸跡を一望できます。
天守台
本丸地区から二の丸地区へは「梅林坂」又は「汐見坂」の坂を下って向かいますが、梅の季節は、梅を観ながらの「梅林坂」がオススメです。
梅林坂と汐見坂
<注意>
両坂は急坂で、汐見坂の方は車椅子での通行が禁止となっています。車椅子の方は、来た道を戻って二の丸地区へ向かう方が無難です。
二の丸地区へ
⑩諏訪の茶屋
ご休所として使われていた茶屋
明治45年(1912)に皇居内の吹上御苑に建てられたもので、昭和43年(1968)に現在の場所に移築された「数寄屋風の書院茶屋」です。
諏訪の茶屋 6月初旬撮影
⑪二の丸庭園
二の丸地区一番の見どころ
昭和39年(1964)に九代将軍家重の時代に作成された庭絵図面をもとに復元された日本庭園。ゆっくりと流れる時間を体感できる憩いの場です。
二の丸庭園と二の丸池 4月下旬撮影
⑫二の丸雑木林
武蔵野の自然を再現した雑木林
江戸時代は将軍の別邸やお世継ぎの御殿があったところ。雑木林の中には、四季を通して楽しめる小道が続きます。
二の丸雑木林 4月下旬撮影
●二の丸休憩所(皇居東御苑の休憩所)
▲三の丸尚蔵館(休館中)
三の丸尚蔵館は、新施設への移行準備のため、2021年12月12日(日)をもって休館となりました。新施設の開館は令和6年の予定です。
9,8000点の皇室関連の美術品を収蔵
三の丸尚蔵館は、皇室に代々受け継がれた美術工芸品等を広く国民に公開するための美術館です。宮内庁が管理する皇室関連の絵画、美術品などが順次展示されています。
三の丸尚蔵館(2021年12月12日より休館)
●大手門(出門) //ここで散策終了です//
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皇居東御苑の花と緑
<季節限定>本丸地区の「花と緑」
桜の季節には大勢の来園者
本丸大芝生の西側には、桜の島/バラ園、南側には果樹古品種園/野草の島などがあります。
桜の島 3月中旬撮影
(皇居東御苑-江戸城本丸跡で見る桜(開花状況))
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バラ園 5月中旬撮影
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<季節限定>二の丸地区の「花と緑」
季節ごとに様々な景観が迎えてくれるエリア
二の丸地区は四季折々の花と緑が溢れ、時を忘れて楽しめるところ。ここには、二の丸雑木林/新雑木林、二の丸庭園、二の丸池、菖蒲田、都道府県の木、梅林坂などがあります。
梅林坂の梅 2月中旬撮影
(皇居東御苑-梅林坂に咲く梅(開花状況))
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二の丸庭園のクルメツツジ 4月中旬撮影
(皇居東御苑-庭園を彩るツツジ(開花状況))
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菖蒲田(二の丸庭園横)のハナショウブ 6月初旬撮影
二の丸地区の紅葉 12月初旬撮影
(皇居東御苑-二の丸地区の紅葉)
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ココを歩いてみて
自分のペースで楽しめる散策
皇居東御苑は、とても広く、急坂や登り坂もあるので、3ヶ所の休憩所と所々に設置されたベンチを、上手に利用しながらの散策がオススメです。また、旧江戸城の遺構には、わかり易い案内板があり、花・草木には、それぞれに名前のプレートが付けられ、優しさを感じながらの散策でした。
事前申請の必要なし
皇居東御苑は事前申請の必要はなく、入園料は無料です。気軽に入園できますが、休園日(臨時含む)と、季節ごとに異なる公開時間があるのでご注意ください。(注意事項等も含め、宮内庁のホームページで確認可能)
歴史と緑に囲まれた景観の中を楽しむ
皇居東御苑の見どころは、旧江戸城の歴史と季節ごとの花と緑。そして、それらが創り出す景観は1年を通して楽しめるところです。ここに来れば、ダイナミックな歴史と心地よい緑に囲まれた景観の中を、時を忘れて楽しむことができます。
アクセス・公開情報
皇居東御苑/東京都千代田区千代田1-1
- 地下鉄各線「大手町」駅c13b出入口から徒歩3分(大手門まで)
※詳細は、皇居東御苑の「アクセス・公開情報」を参照願います
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