現在の日本銀行本店のある場所は、江戸時代、「金座」があったところ。金座とは、金貨の製造・通貨の発行という、現在の中央銀行同様の役割を担っていた組織です。隣接する「貨幣博物館」では、本物の貨幣を見学しながら、お金の歴史を体験することができます。
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ココに金座がありました!
旧館/新館/分館の3つの建物からなる日本銀行本店。旧館のうち「本館」は国指定重要文化財です。また、分館内には、お金の歴史を楽しく学べる貨幣博物館があります。
日本銀行本店▼東京都中央区日本橋本石町2-1-1(写真は本館)
MAP 日本銀行本店と貨幣博物館
アクセス
- 半蔵門線「三越前」駅B1出口から徒歩1分
- 銀座線「三越前」駅A5出口から徒歩2分
- 東西線「日本橋」駅A4出口から徒歩6分
- JR「東京」駅日本橋口から徒歩8分
※一石橋が工事中のため迂回路を通ります
金座とは
幕府発行の金貨を製造していた組織
金座とは、江戸幕府から大判を除くすべての金貨の製造を独占的に請け負った貨幣製造機関のことで、金貨の製造のほか、通貨の発行という現在の中央銀行業務に相当する役割を担っていました。
引用:日本銀行HP
金座の歴史
金座のはじまり
後藤本家(後藤四郎兵衛家)は、室町幕府や織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に「御用彫金師」として仕えていました。文禄4年(1595)、後藤本家5代目「後藤徳乗」の代わりに、後藤庄三郎光次が江戸に行き、金貨の製造に携わったことがはじまり。
江戸時代最初の金貨・慶長小判などは、各地の小判座で小判師が原料を調達し、金貨に仕上げて御金改役所(後藤役所)に納めていた。元禄の改鋳では江戸の本郷に製造所をつくり、小判師を集めて後藤家の指示のもと金貨をつくった。
その後、日本橋の後藤役所の敷地内に製造所を移し、金座とよばれるようになった。
引用:貨幣博物館展示室
金座での作業の様子
小判の製造作業を場面ごとに描いた「絵巻」の一部です。
金座絵巻「金吹方之図 下巻」(出典:国立公文書館)
金座の廃止
幕府の崩壊により、明治元年(1868)に明治政府に接収され、明治2年(1869)には造幣局の設立によって廃止となりました。
金座から日本銀行へ
日本銀行の設立
設立の経緯
明治時代になって、政府や各地の国立銀行がお札(おさつ)を発行し始めました。しかし、明治10年に西南戦争が始まり、その費用のために大量のお札を発行した結果、ものの値段(ねだん)が急に上がるインフレーションが起きてしまいました。そこで、明治15年に、政府が発行したお札を回収(かいしゅう)し、お札の発行を1か所で行うことを目的として、日本銀行が設立されました。
引用:日本銀行HP「設立の経緯」
日本銀行本店の開業
明治15年(1882)10月、永代橋(現・日本橋箱崎町)にあった旧北海道開拓使物産売捌所の建物を本店として開業。
金座跡地への移転
明治29年(1896)4月、永代橋の本店は、手狭で官庁や商業・金融の中心地から離れていたため、金座跡地の現在の場所(日本橋本石町)に新築移転となりました。
本店の設計は、日本近代建築の父といわれた「辰野金吾」。地上3階、地下1階の石積みレンガ造で、ネオ・バロック様式にルネサンス的意匠を加味した建築様式です。
金座跡地に立つ日本銀行本店(出典:国立国会図書館「写真の中の明治・大正」)
日本銀行本店の見学(無料)
概要
見学は事前予約が必要
国の重要文化財に指定されている本館(地下金庫・旧営業所・展示室)を、ガイドの解説付きで見学できます。
公開情報
- 見学時間
①9:30~10:30(受付時間9:15~9:25)
②11:00~12:00(受付時間10:45~10:55)
③13:45~14:45(受付時間13:30~13:40)※火曜日のみ
④15:15~16:15(受付時間15:00~15:10) - 見学日
・毎週月曜日~金曜日(※祝日/年末年始<12月29日から1月4日>を除く) - 料金
無料 - 定員
各回20名(先着順) - 対象
小学校5年生以上の方(※小学生は保護者の同伴が必要) - 所要時間
約60分(ビデオ上映等約10分、見学案内約50分)
※見学途中での退出不可 - 事前予約
必要(本店見学予約サイトから申込み)
※注意事項など詳細は下記URL「日本銀行本店見学HP」でご確認願います
https://www.boj.or.jp/about/services/kengaku.htm/
貨幣博物館の見学(無料)
概要
見学は事前予約が不要(※20名以上は予約が必要)
貨幣博物館とは、日本銀行本店に隣接する日本銀行分館内にある博物館です。日本銀行創立100周年(1982年)を記念して1985年11月に開館。古代から現代までの様々なお金やお金に関する歴史を展示・解説しています。
貨幣博物館(入口)▼東京都中央区日本橋本石町1-3-1
公開情報
- 開館時間
9時30分~16時30分(最終入館は16時まで) - 休館日
・月曜日(※祝休日は開館)
・年末年始(12月29日~1月4日)
※展示入替等のため臨時休館することがあります - 入館料
無料 - 所要時間
30分~60分程度 - 事前予約
必要なし(※20名以上は予約が必要)
※注意事項など詳細は下記URL「貨幣博物館HP」でご確認願います
https://www.imes.boj.or.jp/cm/
貨幣博物館の見どころ
本物の小判を見学できます
展示室内は自由見学で、展示数は約3,000点。歴代の大判・小判・日本銀行券などが展示されています。
貨幣の統一を目指していた徳川家康の歴史なども紹介
貨幣天下統一
徳川家康は、全国の金銀鉱山を直轄化するとともに、お金をつくる技術を管理し、金貨・銀貨の製造体制を整備しました。そして国家として約650年ぶりに、大きさ・重さ・品位(金銀の含有率)などを統一した金貨と銀貨を発行した。
引用:貨幣博物館展示室
映像コーナー
展示室とは別に、お金の歴史をビデオ上映で学べます。(視聴時間:約10分)
映像コーナー
お金の歴史以外でも楽しんでください
1億円の重さ(約10kg)や、千両箱の重さ(約20kg)を体験できます。さらに、お札に使われている「偽造防止技術」の体験など、お金の歴史以外でも楽しむことができます。
1億円の重さを体験
ココを歩いてみて
小学生から大人まで楽しめる貨幣博物館
平日の午後に訪れると、中高年の方を多く見かけましたが、20名くらいの小学生(高学年)や中学生の姿もありました。展示室では本物のお金が時代ごとに展示され、お金の歴史を分かり易く解説されています。見どころも多く、幅広い世代が楽しめる博物館です。