金座跡-日本銀行と貨幣博物館

現在の「日本銀行本店」の場所には、かつて「金座」が置かれていました。そこでは、明治2年に金座が廃止になるまで、小判などの金貨を製造。隣接する「貨幣博物館」では、本物の小判を見学しながら、金座の歴史を見ることができます。



国指定重要文化財「日本銀行本店本館」

金座の跡地に建つ「日本銀行本店本館」

旧館・新館・分館の3つの建物からなる日本銀行本店。旧館のうち「本館」は、現在の日本銀行本店の中で最も古く、国の重要文化財に指定されています。かつて本館の場所には金座がありました。


日本銀行本店本館 ▼東京都中央区日本橋本石町2-1-1

アクセス

  • 半蔵門線「三越前」駅B1出入口から徒歩1分
  • JR「東京」駅日本橋口から徒歩7分

金座とは

幕府発行の金貨を製造していた役所

現在の中央銀行同様の役割

金座とは、江戸幕府から大判を除くすべての金貨の製造を独占的に請け負った貨幣製造機関のことで、金貨の製造のほか、通貨の発行という現在の中央銀行業務に相当する役割を担っていました。
引用:日本銀行ホームページ

金座の歴史

金座のはじまり

後藤本家(後藤四郎兵衛家)は、室町幕府や織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に御用彫金師として仕えていました。
文禄4年(1595)、徳川家康の命により、後藤本家5代目「後藤徳乗」の弟子であった庄三郎が、後藤徳乗の代わりに江戸に行き、小判を製造したことがはじまり。

江戸時代の金貨製造

江戸時代最初の金貨・慶長小判などは、各地の小判座で小判師が原料を調達し、金貨に仕上げて御金改役所(後藤役所)に納めていた。元禄の改鋳では江戸の本郷に製造所をつくり、小判師を集めて後藤家の指示のもと金貨をつくった。
その後、日本橋の後藤役所の敷地内に製造所を移し、金座とよばれるようになった。
引用:貨幣博物館展示室

金座での作業の様子

小判の製造作業を場面ごとに描いた「絵巻」の一部です。


金座絵巻「金吹方之図 下巻」(出典:国立公文書館)

金座の廃止

幕府の崩壊により、明治元年(1868)に明治政府に接収され、明治2年(1869)には造幣局の設立によって廃止となりました。

日本銀行の設立

開業と移転

日本銀行の開業

1882年(明治15)、日本銀行が設立され、永代橋(現・日本橋箱崎町)にあった旧北海道開拓使物産売捌所の建物を本店として開業しました。

金座跡地への移転

1896年(明治29)、永代橋の本店は手狭で、都心から少し遠く、官庁や商業・金融の中心地から離れていたため、現在の場所(日本橋本石町)に移転しました。そこは、かつて金座があったところです。

★★★

見学ができます!

「日本銀行本店」と、「貨幣博物館」の見学

日本銀行本店の見学

日本銀行本店の見学には「予約見学」と「当日見学」があります。予約見学は事前予約が必要ですが、当日見学は予約なしに見学ができます。(※中止の場合がありますのでホームページでの確認が必要です。)

見学(2通り)

  • 予約見学(所要時間約60分)
  • 当日見学(所要時間約30分)

料金:無料

※見学日、見学時間、注意事項など詳細は「日本銀行本店のホームページ」で確認願います
https://www.boj.or.jp/about/services/kengaku.htm

貨幣博物館の見学

20名以上の団体で見学を希望される場合は電話での予約が必要です。

貨幣博物館とは

日本銀行本店に隣接する日本銀行分館内にある博物館です。日本銀行創立100周年(1982年)を記念して1985年11月に開館。古代から現代までの様々なお金やお金に関する歴史を展示・解説しています。


貨幣博物館入口

入館料:無料

※休館日、注意事項など詳細は「貨幣博物館のホームページ」で確認願います
https://www.imes.boj.or.jp/cm/



貨幣博物館の見学をしました!

主な注意事項

入館時に所持品検査

入館すると直ぐに、金属探知機とX線検査装置での所持品検査が実施されます。所持品を最小限にしておけば検査はスムーズです。

写真撮影等

展示室内での写真・録音・動画撮影は禁止です。2階ロビーに、記念撮影スポットが用意されています。

貨幣博物館の見どころ

本物の小判が見られる貨幣博物館

所要時間は30分から60分です。展示室内は自由見学で、展示数は約3,000点。歴代の大判・小判・日本銀行券や、当時の財布などの細かいものまでも多数展示されています。

貨幣の統一を目指していた徳川家康の歴史なども紹介

貨幣天下統一

徳川家康は、全国の金銀鉱山を直轄化するとともに、お金をつくる技術を管理し、金貨・銀貨の製造体制を整備しました。そして国家として約650年ぶりに、大きさ・重さ・品位(金銀の含有率)などを統一した金貨と銀貨を発行した。
引用:貨幣博物館展示室

映像コーナー

展示室とは別に、お金の歴史を学べます。(視聴時間:約10分)


映像コーナー

お金の歴史以外にも

1億円の重さ(約10kg)や、千両箱の重さ(約20kg)などを体験できます。さらに、お札に使われている「偽造防止技術」を見学したり、お金の歴史以外にも楽しむことができます。


1億円の重さを体験

金座の歴史も紹介

金座での小判の製造作業が描かれた「絵巻」の他にも、職人が金座に出入りした際に提示した「門鑑」や、金座で実際に用いられた道具などが展示されています。



ココを歩いてみて

小学生から大人まで楽しめる博物館

平日の午後に訪れると、中高年の方を多く見かけましたが、20名くらいの小学生(高学年)や中学生の姿もありました。展示室では、本物のお金が時代ごとに展示され、お金の歴史を分かり易く解説しています。見どころも多く、大人も楽しめる博物館です。

金座の歴史

金座の跡地に建つ日本銀行本店の周囲を歩きましたが、金座の面影は見当たりませんでした。貨幣博物館の中では、実際に金座で使われた道具や資料等が展示され、当時の金座の様子をイメージしながら見学することができます。